2012年4月25日水曜日

最近のお仕事あれこれ。

以前「猫メット」をご依頼してくださいました
Motchie氏と進めてきた2個目のビンテージメット、
完成しました。
元はリビルト済の白の綺麗な状態でしたが
「ビンテージのレスレストンでこれではつまらないね」で
二人でああだこうだと画策し、
こんなカンジに仕上げました。




所謂ダメージペイントってヤツです。
昨今流行ってますね。
ワタシはレストア仕上げの一つの手法で以前より使ってきましたが
これをやってみたです。
テーマは「昔のTTレーサーのメットだったよ作戦」。
まぁ歴代に渡ってマン島走ってきた往年のレーサーのメット。
でも実在の人物のレプリカの「それ」を造るのではなく
全く架空の物語を想定して遊んでみましょう、です。
左にMotchie氏所属のレーシングチームの紋章を。
50年代風にローバジェットでチープに。


メット中央のラインにはスポンサードを受けたメーカーのものを。
(注:架空の人物想定してるのであくまでフィクションですよw)
COTTON・エンフィ・ZENITHとまぁ錚々たるメーカーが並んでます。
ここから推測するにこのライダーは30年代~50年初頭にかけて
欧州のサーキットを走ってきた方だと推測されます
(注:架空の人物想定してるのであくまでフィクションですよw)
更には2ストから4ストまで乗りこなしているので
腕は相当の方であったようです
(注:もう一度言いますが架空の人物想定してるのであくまでフィクションですよw)

こやつらはそうです、あのトランスファーです。
いつもきっちり貼り付いてくれずワタシを精神的に追い込んでくれる
あのトランスファー達です。
今回はダメージを逆手に取って
きっちり貼り付こうが付くまいがどーでもいいという
普段の腹いせとしか思えない手法でやらせて戴きました(笑)
普段のワタシの怨念をこうして晴らすペイントをさせてくださった
Motchie氏には感謝してもしきれませんw


でもこのトランスファー、
意外にもこういう時に限ってきっちり貼れたりします(苦笑)
何かここまできて逆らってくるのは相性の問題なんでしょうか?
因みに
「水貼りの際に水性ボンド薄く溶かした水でやると食いつくんだぜ~」と
実はよく周りのDIYレストアラーの方からアドバイス戴きます。
ありがとうございます。
でもそれは十分に存じております。
ワタシはウレタンで24時間硬化の塗料と使っているので
水分を保留してしまう水溶性ボンドは避けたいのです。
でなければトランスファー仕事はボンド溶液で貼り付けた後は
最低でも3か月はお預かり(陰干し)して
それからクリア入れてお渡しという形になっちゃいます。
トランスファーだけで3か月以上お預かりはやっぱ異常です。
ウチもそれでは英車だらけになっちゃいますw
だから悩んでいるのでゴザイマス。。。。


フロント部分は風に晒された証として
細かくクラックが入っております。
因みにワタシはクラックは硬化不良で自然発生ではなく
いちいちですがアートナイフで入れてます。
硬化剤の配合間違えで大変な目に遭ってきたのを
過去の丁稚時代にディーラーでやらかしておりますので
測りで硬化剤を混入する際
オーバー量入れると夢に出てきてうなされてしまいます。
あの固まらない・「沸き」という現象が出た塗膜見ると
生まれたての羊みたくガクブルしてしまうので
その辺ヤ○セで仕事してきたから
不覚にも真面目なのでございます。。。。

このメット、Motchie氏に相当喜んで戴けたので
ホント幸いでございます。
ありがとうございました!!
余談ですがこのメット、
納品直前に学校から帰ってきた娘っ子が
「次はこの旧いメットの修理すんの?」と
まんまと身内を騙せたので気分よろしゅうございますw





以前ライン入れる前までは写真撮っていたこのタンク。
丁度RITMO納品行ったら架装されていたので撮影。
オーナー様のご指定の赤ラインでしたが
これが結構ビビットなカラーリングでよろしゅうございます。
後ろにちょこっと映ってるのは
工藤俊作ではなくRITMOスタッフモギー氏のフワフワヘアーです。






長期お預かりシリーズのシーリーBSA。
あまりにも着膨れしたシートカウルの剥離です。
着膨れのせいもあるでしょうが
ラインがあまりにも歪だったので何かあるとは思ってましたが
凄まじい剥離と格闘の末、出て参りました。
全部で7層塗ってありました。。。。


もうちょっと頑張って砥いだ図。
なんてこったい。
このシート、元はダブル(セミダブル)シートだったんだ。
前半分か後ろ半分が繋ぎ合わせだと思ってましたが
真ん中が繋ぎ合わせでしたw
あー、だとしたら超絶叩きまくりで造られたあのタンクと
これでぴったんこマッチングですね。
外装はタンク・シート共にこれ、リックマンですね。



ゲル無しいきなりはやっぱ粗が酷いので
カーボンパテ使ってラインもここで直します。
7層の塗膜全部落としたら材質が歪む位にペナペナだったので
ここで強度も出しておきましょうかね。
しかし塗膜で強度出てたってのは凄いなw



サフェ入れ直前にオーナーのE氏にご来店戴いたので
余計な穴も全てスムージングです。
シート前部分の横の補強がとても貧弱だったので
ここも1枚クロス貼っておきましょうかね。
手で触ってイガイガ痛い裏地より
スムーズな裏地の方がRyozzy君もシート貼りやすいでしょうし、ね。


まぁこんな地味な事ずっとやってるから
ウチはあんま儲からないんだと思います(笑)




お相手のそのタンクもやっとこさここまで形が整いました。
ハンマーの思うがままに叩いて凹まされたフロントの窪みも
あんなに叩いてそれからパテで盛ってどーすんの?状態でしたが
可能な限りアルミ地出るまで基準作ってはハンマリング、
またペーパーで擦っては字金出してハンマリングを繰り返し、
どうにか最低限の薄付けパテでフィニッシュ。
左右のラインも最低限合わせて整形です。
このタンク、これでどうにかアルミタンクの軽さに近付いたですね。
入庫した時はFRPと思った位に重かったっすからね(苦笑)




あとはサフェ入って色入れてちょいちょいやれば完成。
ガン握ってる時間はやはり短いものです。
塗装はこういう下地整形が全体の8割位占めますので
実は無茶苦茶に地味な作業なのです。


唯一どーにもならなかった箇所。
エノットキャップの水平出し。
ここを引っ張り出して水平出すと
キャップがバカになってパカパカ開いちゃうのです。
走行中ここがパカとか開いてガソリン攻撃してきたら
もうライディング愉しんでいる場合ではございません。
エノット交換しようかとも思ったのですが
開口部分からみっちりTig溶接されておりました。
交換も出来ないし水平出したらパカパカするし。。。。
苦肉の策でタンク上面にそれっぽい加工(整形)して
キャップ後方が下がってても違和感ない加工しました。
更にキャップ開閉レバー下部がアルミ地当たって
爪の引っ掛かりが甘いのでポンチングでアンダー修正。
ここまでレバーと肉薄していると整形出来ませんが
何だかレーシーという事でご勘弁くださいw
カッコ良く演出しますので。



外装一式お預かりしたGT750。
元々リペイントされていたので綺麗な状態でしたが
では足付けしていけるね~♪思ってたら
サイドカバーに不審な点、発見。

嵌め込み部根元。
ハンダこてで溶かした痕。。。。


あれか?これって立川断層、か!?w
これはと思い表を確認。
あー・・・・・・・
割れてます(泣)



ちょっと力入れて歪ませたら出てきました。。。。
断層、一つ目。


違う方向にも力入れてみました。
断層、2つ目。
全部で3つありました。
力入れなきゃ出てこないクラックだったから
裏の付け根溶かして対応したんでしょうな。
まぁ観ちゃったからにはやらなくてはですね。。。。



3つの断層を遺跡発掘みたく掘ります。
考古学専攻の大学生雇いたいですが
大学生もこっちは興味ないでしょうし
ワタシも雇うお金なんざ持ってないので
自分でほじくります。

PP樹脂は確かに溶かして接着が有効ではありますが
実はPPの溶接(?)は非常に難しいです。
同じPPの溶剤持って来ても相性が非常にシビア。
で、よくFRP補修の痕も見られますが
これはやり方間違ってる方が多くて補修になってなくて困ります。
PPとFRPは本来食い付き合いません。




オーナーが観たら卒倒しそうですが
FRP補修の時はこうして裏と表のサンドイッチにします。
というかそうしないとFRPはただ載ってるだけになります。


で、表にそれっぽくカットしたガラスクロス敷きます。
薄さが求められるタイトなラインの箇所なら
表はネット状のクロスでもいいでしょうね。


で、ガムテで固定しておきます。



で、裏から樹脂を流し込んで浸透させて
裏も同時に貼り込んでいくわけです。
これでPPのベース挟んだ状態で固定出来ます。


裏も浸透でこうして凝固して固定されます。
これをならして整形すれば強度も出るというわけです。


うん、あとはサフェでいけるでしょう。
これでサフェ入れが一日ずれます。
旧車は正直どのパーツもこんな不具合だらけです。
拘れば拘る程に納期が後ろにずれていきます。
でも折角レストアするんですものね、
出来ましたら納期はじっくりお待ち戴けますと幸いです。



前回お伝えしたDUCATIの350SPORT。
剥いて凹み修正してたらまた見つけちゃった、余計なモノ。。。。


ぐぬぬ。。。


ぅぬぬぬぬ。。。。


んんん。。。。


長期不動車でサイドスタンドで保管だったからなのかな、
左側面下部に無数の穴。。。。

作業中断(泣)

TR後藤さんにTEL。
オーナーに追加作業の旨、伝えてもらう。
予定がここで大幅に狂う。
まぁ、仕方ない。
何か他に出来る事、探すか。
ここから他の作業に移るから
いつまで経っても夜明けまで仕事しちゃう結果になるんだよなぁ(苦笑)



後日、オーナー様より確認とれたので
ここで追加作業中でございます。
もう開いちゃってる穴はTigで優しく埋めて
(母材が錆で痩せてるから簡単に大穴開いちゃうのね)
でも下部全部弱って痩せてるだろうから
ハンダで一枚覆って整形して
中はPOR15でコーティングだな。
4月中には終わるかと思ってましたがやはり旧車。
一筋縄ではいきませぬ。



SUPREMEご依頼のVELOCETTE。
ラインはもうデータ取ってあるので
アウトラインを出して中に筆で6㎜弱で引く予定です。
まぁこれはBMW死ぬほどやってるので得意です。



問題はちゃんと貼らなきゃならないトランスファーが待ってる。
もうね、何て言うか胃が痛い。。。。



最後にM氏よりお預かり中のドリーム50タンク。
ウチとしては珍しい現行なのでとても楽でありがたい♪(笑)
字金剥いて磨いていざサフェ、の図だが
この長いタンクは車体に載ってるととてもカッコ良いのだが
吊るすとワタシはいつも


タチウオばかりが脳裏によぎります。