2013年12月12日木曜日

ホットロッドショー、やまりん編。

続いては山口輪業、通称やまりんさん。
VMXやCAFE CRUIZ NITEなんかではずっと仲良くやっておりましたが
実はペイントでご指名戴いたのは初。

車体はYAMAHAの2スト、RD250。マニアックな車種設定です。
しかしフォルムはお家芸のカフェフォルムのようです。
ぐっさんからオーダーされたのは
「白基調で雪中行軍とかアーバンカモみたいなペイントだけど
あんまミルスペックしてない感じで」
何じゃそりゃ?

ワタシの所には「レースペイントで」とか「多色キャンディで」とか
何でそういう今風のペイントが来ないんでしょうかね?(笑)
まぁいいです、妄想おバカSTUPIDが屋号ですから
請けて立ちましょうぞ。

「じゃあカモフラをパールでやりましょうか?角度によって観えたり色変わったり」
「それいいっすね!!」
決まり。
この時点で一つワタシの頭の中にモデルがあったの。
第一次大戦のドイツの複葉機、ハノーヴァーCL.Ⅱ。

パールの淡いカモフラでOK出た時点でパッと閃いたの。
幼い頃飛行機図鑑観てていつもこの機体眺めて
「何で戦闘機でこんなメルヘンなカラーしてんだろ」って。
でもだからこそ40のおっさんになってもコイツが脳の中の
浅い引き出しのすぐ手前に散らかって落ちてたのね(笑)
どっかでいつかはこのカラーリングに順じたモノ、やりたかったのかもしれない。

「白基調で」って言われた時点でもこれやろうって確信、実はあったの。
それは同じくドイツの逸品、マイセンの食器の乳白さ。

あー、これ恐ろしく手間かかるなぁと確信しつつ
ケンタのところもベリバの恭平のところも
ラズダズのRyozzy君のものもTR社長のドカも
リトモの46さんの美しきレーサーも
関わったモノ全て全力注いでここまでやってきたんだから
初めてペイントでコンタクト取るやまりんさんも
やっぱし掛け値無しでワタシの妄想ワールド、突っ込んでみたくなったのね(笑)

考えてみたら今年だとHさんの傾き者GUZZIとか
Kさんのアメリカ軍海兵隊仕様のMACHも
N君の第2次大戦の海軍仕様のHARLEYも
みんな全力で妄想全開でコンセプトに従って塗って来たんだし、で
とにかくひたすら黙々とパールでカモを入れていく。

因みに毎回マスキングテープ全部貼って
新しいカモをアートナイフでくり抜いていけば早い工法なんだけど、
マイセンの器に拘ったのでナイフの刃が立った「痕跡」が嫌で
カモ全て机の上で切ってからタンクに貼っていって
その隙間をテープで逐一埋めるという手法を取った。

素人目にはその違いなんて絶対理解らないけど
プロ同士が観るとアートナイフの力加減って実は理解るの。
強く入れちゃう人の作品って、下地が痛められた「痕跡」が残るの。
白い無垢のベースにこれが入るのが嫌だったから
その全てをタンクではない場所で切ってから貼っていったのです。
まぁ、単なる意地です(笑)

1色ずつパールを入れてはクリアコートしていって

徐々にカモフラの数を整えていきながら

各々の段差を削って平滑にしていきます。

この時点だとご覧のとおり肌がユルユルです。
こんだけクリア数入ればまぁ当然です。

カモフラはこれくらいでいい塩梅でしょう。
上の写真と比べてカモの色の変化、又は消えちゃうところ、
なんとなくでも伝わりますかね?

サイドカバーにはエンボスに合わせてパールペイントと
その枠にゴールドリーフを貼り付け。

ライトケース、フロントフェンダーにもゴールドリーフと銅箔を。
言い方変えたのは銅箔は日本の金沢箔だから。
因みに海外製のゴールドリーフは金ではない事がほとんどです。
海外ではあそこまで金を薄く延ばす技法が無く、
薄い金箔を貼る作業も難しいので
殆どはゴールドリーフと表記してますがあれは真鍮箔です。

すっ飛ばしましたがタンクもゴールドリーフと銅箔貼り終えてクリア入れて
砥ぎつけて縁をピンストでラインで囲ってクリア入れて
いよいよ佳境のやまりんのロゴ入れです。

まず黒のアウトライン吹いたら完走後にマスキング、
その中にロゴを転写してアートナイフでくり抜いていきます。

抜き終わったらワニス(糊)塗って暫し待って

頃合い半ばでマスキングを丁寧に剥がして

ここに箔を貼っていきます。
右サイドは金沢箔の若草箔。

左サイドは同じく金沢箔の紫陽花箔をあしらってみました。
MADE IN JAPANですから♪

全て終わり最終クリアコートで段差を埋めて徹底的に鏡面ポリッシュ。

思惑通りになって一安心。

早速やまりんに納品で持ち込みます。
ぐっさん、お待たせ!!

あ、ディープサンドで転倒して失神しないように勉強してるな(笑)

先に仕上がってたシートカウルともご対面。
シート製作はいわずもがなのRAZZLE DAZZLE。
Ryozzy君とは少し打ち合わせしただけでイメージ共有し易いので
出来上がり見なくとも安心できる仲でゴザイマス。

うん、かっけぇ♪
ちゃんと完成前でもオーラ出てます。

こうして初のコラボ作品、完成です。

品よく、でも戦闘的に、でも優雅に出来たと思います。

サイドカバーにはぐっさんからオーダーあった「LOVE BUZZ」の歌詞。
SHOCKING BLUEバージョンじゃなくてNIRVANAバージョンでってのも
ぐっさんらしい。
そう、この車体、ぐっさん本人のイメージカーなのです。

「造っててこんなにワクワクしたの初めてです」
ぐっさんから戴いたお言葉です。
これこそ職人冥利の言葉でゴザイマス。
今後製作する車体ごとにそう言えるように
我々はモチベーションを保ち続ける努力をして参りましょう。
仕上がりにも満足して戴けてホッとしましたが
ぐっさん、請求書の金額に怯えておりました(笑)

今回は関わらせてくれて、ホントありがとう!!
ぐっさん、これで来年は一緒に走ろうぜ♪




以上、ロッドショーやまりん編でございました。
ウチSTUPID編はまた後日書かせてください(苦笑)