2017年9月24日日曜日

和風総本家なのかアステカ文明なのかどっちだよ。

超絶ペイントGUZZIのオーナー、亀ちゃんよりお仕事入る。
亀ちゃんはリクガメとフトアゴヒゲトカゲをペットとして飼っている。
前回のペイントで左サイドカバーには亀施したけど
そういえばフトアゴさんはモチーフとして入れてない。
で、前回赤富士描いた右のサイドカバー、
あちらをスペア入手したんでフトアゴさんお願い、というオーダー。

画像では新入社員歓迎会で早く乾杯したいのに新入社員が
「あ、すんませんビール苦手なんでモヒート頼んでいいっすか?」で
生4つは速攻で来たのにモヒート全然来なくて乾杯し損ねてる
そんなサラリーマン達にしか見えませんが
これがそのフトアゴさんです。

ではやってみましょうかね。

まずベースカラーの黒塗って
フトアゴさんの塩梅の良い画像引っ張って来て
それ見ながら「あたり」つけてラフでシルエット落とし込みます。
で、その中の部分全部下地のプラスチック見えるまで彫っていきます。

折角塗ったもの彫刻刀で彫っていくなんざ正気の沙汰ではないです。

彫り終えました。
ワタシ、ガキの頃縁日の型抜きキラーだったので彫るのは得意です。
最終的にテキ屋にマークされて出禁喰らった程です。
小学生時代世田谷におったんですが
仕方なくチャリ飛ばして目黒不動尊の縁日にまで遠征して
そこで型抜きキラーしてた程です。
そんな話は何ら関係ありません。
ペイントしたモノを彫るという行為自体が正気の沙汰ではない、
そういえば話の論点はそこでした。

でまぁ彫った中の部分も黒く塗っておきます。
何で彫ったかというと螺鈿細工施すからです。
夜光貝は薄いとはいえペイントで埋めるには肉厚過ぎるので
ここで段差つけて少しでも下に沈めておかないとならんのです。
一番最初にトライした螺鈿細工。
ワタシのドカのシートカウルです。
これの時はクリアで強引に埋めようとしました。
しかし肉厚過ぎて吹いても吹いても埒が明かず、
仕方なしにクリア硬化剤入れて作ってわざと半日置いて
少しドロッとした状態にして垂らして埋めるという
物凄い荒業に出ました。
おかげで埋まりましたがクリアの塗膜の肉厚の限界を軽く超えていたので
数年経過してクリアが割れてまいました。。。。
自分の車体を実験のラボ代わりにして得たデータですので
ユーザーさんのオーダーでは同じミスはするまいと
彫刻刀で彫る狂気の沙汰をする運びとなった次第です。

螺鈿を形に適したピースを拾ってはワニスで固定していきます。
実は上半身でアワビ貝きらしてしまい
下半身別発注のアワビさんです。
個体差の模様の違いがありますが
自然物ですので逆にそれ愉しんでください(笑)


貼る事丸2日。
ようやく埋めたのでクリア塗って段差や隙間を埋めます。

で、真っ直ぐに研ぎ込んで最後のクリアコートでフィニッシュ。
本物の螺鈿工芸は漆で一旦模様も全部塗り潰してしまい
そこから模様が見えるまで磨き込んでいく、いわば「引き算」の工法ですが
ワタシのペイントはその本質が「足し算」故、
彫刻刀で掘り下げるという「引き算」を用いなければならないのです。

「サイドカバーでしょ?結構平面だから出来るよ~♪」
等と安請け合いしましたが
そういえばGUZZIさんは多角形が大好きなメーカーでした。
微妙にエッジあって貼るのかなり苦労したのは内緒です。

あと本物の螺鈿細工は漆と貝が面一なのですが
こちらは足し算が本質のペイントですので
クリアで鏡面仕上げです。

螺鈿、正直見てて飽きません。キレイっす。
しっぽだけ赤味強い個体のメキシコ産アバロン使いました。
メインは沖縄石垣産の夜光貝です。


うん、ワタシのドカに装着しても何ら違和感、無い(笑)


亀ちゃんに「出来たよ~」と連絡すると
GUZZI乗って取りに来ました。
というかその場でサイドカバー装着してみました。
えぇそうです、ワタシも亀ちゃんも「待てない子」ですwww
「おおぉ!タンクの旭日旗がアフリカの太陽になった!」
「うひょー!朝の体温上昇させてる行為だこれ!」
「何かもう野生の王国のナレーションしか聞こえてこねぇ!」
「久米明!!久米明!!」
お気に召して戴き光栄しきり。


だがやっぱり思った。
全身和柄がコンセプトだったはずのこのGUZZI。
フトアゴさんの影響力はやはり強い。
ぶっちゃけどこをどー観てもアステカ文明(笑)